(平成17年8月3日付 産経新聞・健康欄への依頼原稿を改変したものです)
この病気は汗疱と呼ばれていたように、多汗症と関連するものと思われていました。しかし現在では、手のひらや足の裏に生じる湿疹の一種と考えられています。手のひらや足の裏、指の側面に小さな水疱が見られたり、密集して大きな水疱になることも。かゆみや痛みを感じたり、水疱が出る場合に違和感を覚える場合もあります。2-3週間で皮膚がめくれて治りますが、再発を繰り返します。一般の方や他科の医師は水虫と勘違いされることが多いようです。
原因として、重金属(ニッケル)・食品添加物、防腐剤などによる全身性接触皮膚炎が、手のひらや足の裏に現れたとする考えもあります。水疱が認められず、皮膚がむける乾燥型とも言うべき乾性落屑性異汗症という型もあります。治療はステロイド外用剤、尿素軟膏、重症では短期間のステロイド含有抗ヒスタミン剤の内服も行われます。最後にニッケルのパッチテストは治療方針を決める上で有用です。
これと区別する必要のある病気に蚕食性角質融解症と掌蹠膿疱症があります。
異汗性湿疹は一般的な病気です。しかし、異なる2つの病型が同じ病名で呼ばれ、再発を繰り返し、明快な原因説明が得られないことから、説明と完治を求めてドクターショッピングをされる患者さんは多いようです。