蕁麻疹とは一言で言うと、皮膚に生じる一時的な水溜り(浮腫)です。
単なる水溜りですから、どんなに長くても1日以内、普通は30分から2時間で消えてしまい決して跡を残しません。跡を残す場合は特殊な蕁麻疹(蕁麻疹様血管炎)か別疾患です。もちろんひとつの水溜りが消えても、隣に新しい水溜りができ全体を見るとずっと続いているように見えることはありますが、ひとつの水溜りは1日で消えます。この特徴から電話で診断できる唯一の皮膚病と言われます。
皮膚の水溜りはマスト細胞への刺激によって放出されたヒスタミンが皮膚の浅い血管に働き、血管の隙間からもれ出た血漿が皮下に溜まって生じたものです。
原因は、マスト細胞の刺激の仕方によってアレルギー性とそうでないもの(非アレルギー性)に分けられます。アレルギー性というのは原因物質(抗原・アレルゲン)ごとに決まったlgE抗体がマスト細胞表面に結合し、この抗体に原因成分がくっつくとマスト細胞からヒスタミンが出る機構を言います。非アレルギー性とはlgE抗体を介さずにヒスタミンが放出される機構です。
蕁麻疹は持続する期間によって1ヶ月以内で治ってしまう急性蕁麻疹と1ヶ月以上続く慢性蕁麻疹に分けられます。
慢性蕁麻疹でアレルギーが関与するものは原則ありません。
そのほとんどは自己免疫性といい、体の中で肥満細胞を刺激する物質を自ら作ることで生じます。よって難治で原因を調べる血液検査をしても無駄です。
一方急性蕁麻疹ではアレルギー性とそうでないものがあります。例えば食餌で生じる場合、特定の食物を食べると必ず生じる場合はアレルギー性による可能性が高く、原因を検査で調べることができます(特定の食物に対するlgE抗体を持っているかどうかを調べます)。しかしある食物を食べて起こったり起こらなかったりする場合は、アレルギーによるものではなく体調・ストレスや吸収が関与することが多いのです。またはヒスタミン様物質を含む食物(青魚、イチゴ、タケノコなど)を食べると発症する場合があります。この場合は検査をしても分かりません。その他温熱や圧迫なども機械的な刺激で生じる蕁麻疹もあります。
アスピリン(アスピリン不耐症)や血圧の薬(Ca拮抗薬)で生じるものも注意が必要です。
全身に派手に生じるため、内臓に問題があるのではと考える方も多いですが、特殊な場合以外無関係です。治療は原因が特定できればこれを避けることが第一です。治療は抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服です。外用薬はあまり効果がありませんので一般的には使いません。
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