虫刺されは日常生活でよく経験します。みなさんはまずどんな虫に刺されたのかお知りになりたいわけですが、原因虫を確定できないことが実際は多いのです。その理由は個々の虫に特徴のある症状が少なく、しかも反応の個人差が大きいためです。つまり刺された直後に痒みと皮膚症状が出る場合や刺されて2-3日して痒み・紅斑・丘疹が出る場合などかなり個人差があります。同じ虫でも反応が強い人では水疱ができますが、紅色丘疹(赤いぶつぶつ)しかできない人もいます。
虫刺されは、大雑把な分け方をすると「痒い場合」と「痛い場合」に大別されます。
痛い場合は毒棘をもつイラガ類(イラガ、ヒロヘリアオイラー刺されると電気に触れたように感じるので電気虫とも呼ばれます)の幼虫による毛虫皮膚炎、アオバアリガタハネカクシによる線状皮膚炎(この皮膚症状は特徴的)、ミツバチ・スズメバチ・アシナガバチによるハチ刺症、トビズムカデによるムカデ咬症の場合だけです。
痒い場合はヒトスジシマカ・アカイエカによるカ刺症、ネコノミによるノミ刺症、イエダニによるダニ刺症、毒針毛をもつドクガ類(ドクガ・チャドクガ・モンシロドクガ)、カレハガ類(マツカレハ、ヤマダカレハ)による毛虫皮膚炎、ブユ(ブヨ・ブト)によるブユ刺症です。
治療は刺した虫が特定できなくとも、基本的にはステロイド外用剤の塗布と抗ヒスタミン剤の内服です。毒針毛の場合はこれを取り除きます。また二次感染を生じた場合はその治療を加えます。もうひとつハチ刺症のときのアンモニア使用は迷信で無効です。
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